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Canon BJ F9000を買ってみた
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管理人が現在、主に使っているプリンターはEPSON PM-3000C。
ソフトRIPと組み合わせると簡易色校機としても使えるくらいクオリティが高いので重宝しています。
ただひとつの不満を除いて・・・。印刷速度が遅いのだ・・・。
比較してみる
[EPSON PM-3000C]よりは[EPSON PM-950C]の方がプリント速度が速い、と漠然とは感じていましたが、ある日ふと思いついて[PM-3000C]と[PM-950C]の速度比較をやってみました。
すると驚くべき結果がでたのです。
測定に使ったマシンはPower Mac G4/466で実メモリは1.25GB搭載。
このマシンに各プリンターをつなぎ、A4サイズ350dpi/33.9MBの画像をPhotoshop5.5(500MBメモリ割り当て)から出力して、プリントダイアログの[OK]ボタンを押してから用紙が完全に排出されるまでの時間を計ってみました。
計測結果
機種名 モード 時間
PM-3000C カラー 推奨設定 きれい 6分22秒
PM-950C カラー 推奨設定 きれい 2分24秒
なんと4分の差!
PM-3000Cはシリアル接続、PM-950CはUSB接続と接続方法が違うので転送スピードに若干の差があるのですが、それを考慮してもこの差は大きい・・・。
PM-3000Cで大量にプリントアウトすることがあるのですが「こんなに違うのなら新型に買い換えたら時間も短縮できて精神的にも楽かも・・・」と思ってしまったのも自然なことでせう(?)
次に買うなら絶対Canon製!?
キヤノン製のプリンターは印刷速度が速いといわれていましたし、それとは別に(例の)インクコストの件もあって、次はキャノンに戻ってみよう(←PM-3000Cの前は、BJC-455だった)と以前から思っていました。
一応[EPSON PM-3700C]も検討してみましたが、スピード的にキヤノン製に遠く及ばないこと(あくまでもカタログ上で)、ソフトリッパーのライセンスの関係(CPSソフトリッパーは基本的に1アプリ1プリンターで、プリンターのROMがアプリのシリアル番号を記憶する仕様になっている(らしい)ので、組み合わせがかわると使えなくなる(らしい・・・)。
で、管理人がいま使っているバージョンはPM-3700に対応していない(← エプソン・サポート談)ので本体を買い換えるとRIPも買い換えなければならないこと、いまと同じプリンターじゃ面白くないという天の邪鬼的精神でキヤノン製にすることに決定!

キヤノン製でA3ノビが出力できる機種は[BJ F9000]と[BJ S6300]の2機種。
キレイなのは6色機の[BJ F9000]ですが、(インクの)ランニングコストが低いのはどう考えても4色機の[BJ S6300]です。
困ったのはどちらが速いのかということ。
BJ F9000の方がノズル数が多いので速いはずなのですが、カタログスペックではBJ S6300が速い・・・。
何度も見比べているうちに数字のカラクリに気が付きました。
要するにBJ F9000は「写真画質」が売り物なので写真などのグラフィックスを出力したときに毎分何枚という書き方がしてあり、対してBJ S6300はビジネス文書を出力したときに毎分何枚という書き方がしてあるということです。
速度評価に使っているファイルデータが違うために、速度数値が違っているわけです。
これは実にわかりにくい・・・要改善ですね。

運悪く(?)
いつもの家電量販店にいってみると、新しいカタログが置いてあり、見てみるとF9000の後継機で[F9100i]というのが載っていました。
どうやら、モデルチェンジをするようで、店員さんに聞いてみると「6月に出る新機種なのでまだ入ってきていなくて、値段もまだ決まっていない」とのこと。
そのかわりF9000が店頭展示品処分で39,800円に値下げ(通常49,800円なので1万円もお得!)されていて、さらに消費税分を値引きしてくれる(さらにお得!!)というのでF9000に決定!
[F9100i]はF9000よりもノズル数が増えて印刷がさらにキレイになっているようですが、他の部分のスペックはF9000と全く変わらなかったのでこっちでもいいかな?と・・・。
画質的にはPM-3000C程度でも十分なので印刷速度が速ければそれで良しとしました。安かったし・・・。

店頭展示品ということもあり、POPシールを剥がしていくと、日焼けの痕跡がクッキリ現れた。
直射日光が当たるような展示場ではなかったので、原因は蛍光灯以外に考えられない。

設置してみる
管理人がメインで使っているG4/466には、すでにプリンターが2台接続されているので、これで3台目となります。
F9000本体の大きさはPM-3000Cとほぼ同じで、設置にはヨコ60cm奥行き50cm、排紙トレイを全開すると奥行き80cmは必要になります。置き場所を作るのに苦労しました・・・。

特徴的なのは、インクカートリッジだけではなく、ホルダーとヘッドが一緒になった部品を取り付けなければならないことです。
一見めんどくさい構造のように思えますが、このような構成になっていると、何らかの原因でヘッドが損傷した場合でも、修理に出さなくてもこの部品を取り寄せて換えるだけで済むので便利です。
エプソン製のようにヘッドが本体に直づけになっていると、何かあったときには必ずメーカーに修理に出さなければならず、時間的にも金額的にもユーザーが負担する部分は大きいと思います。

ヘッド一体型のカートリッジ部分。
このケースにインクをセットしていき、最終的にカートリッジを本体にマウントする。

ひっくり返してみたところ。
梱包時にはヘッドの部分はオレンジのカバーに覆われている。

カバーを取るとバーコード状のヘッド部分と、接点端子が現れる。
本体への装着時にはこれらに触らないように注意。

キャノンのインクカートリッジはケースがシースルー。
エプソンのものと違い複雑な構造などない、全くのインクタンクだ。
装着時に底部のオレンジ色のキャップをねじ切って外す。
はじめて作業するときはちょっと勇気がいるかも・・・。

マックとの接続はUSBで行いました。
F9000はFire Wireにも対応しているのですが、持ち合わせのケーブルが短くて届かなかったことと、マックからの転送時間が少々短くなってもプリントに要する時間が劇的に早くなるものでもなかろうと判断してUSBにしました。
ケーブルも安いしね!

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プリントしてみる
さて肝心のプリント速度のほうですが、以前に速度計測に使った同じ画像を用いて実験をしてみます。
ドライバーの設定は、BJカートリッジ:フォト、用紙の種類:高品位専用紙、給紙方法:オートシートフィーダ、印刷品位:標準(品位優先)誤差拡散で、時間はプリントダイアログの[OK]を押してから完全に排紙されるまでがなんと1分50秒!
(←ドライバーのバージョンが3.9の時の数値なので、3.9.7ではもう少し速くなるかも・・・)
PM-950Cと比較して、約1分の短縮です。これはスゴイ!
さらに、モノクロのA4テキストなら1枚あたり約15秒で印刷が完了してしまいます。
F9000を買った直後、A4モノクロを200枚連続でプリントしなければならないことがあったので非常に助かりました。
F9000だから1時間弱で終わりましたが、 もしPM-3000でやっていたら・・・。

ドライバーの使い勝手は?
管理人が購入したF9000に付属していたドライバーはVer.3.9だったのですが、このバージョンでは色々と問題が発生するようなので最新版の3.9.7をダウンロードしてきてインストールし直しました。
管理人のところで発生した問題としては「ファイルやアプリによっては、スプール(←印刷しようとするデータの記憶と転送にかかる時間)が異常に長い」「Adobe Illustrator 5.5Jからプリントしようとすると、メモリ・エラーが起きる」というものですが、いずれも3.9.7では改善されています。

ドライバーの機能自体はエプソンとほとんど変わりませんが、インターフェイス(デザイン)はおせじにも使いやすいとはいえません。
エプソンは用紙を選び直すだけで各設定が自動的に切り替わるようになっていますが、キャノンのドライバーは用紙と印刷設定が別々に選択できるようになっているので、初心者ほど分かりにくい仕様になっています。
4つ用意されている印刷設定の違いも注意深く読まないとわかりません。

管理人自身はマニュアルモードで独自の設定を施して使っているのですが、これがまた使いにくい!
マニュアルモードで設定した組み合わせは[設定登録]で保存できるようにはなっているのですが、いったんアプリケーションを終了してしまうとマニュアルモードの設定をクリアしてしまうようで(ドライバーが覚えていてくれない)、保存してある設定を毎回呼び出してこなければなりません。
また、用紙の種類で高品位用紙を選ぶと、印刷品位で標準(品位優先)から高速側を選べないという融通の無さもなんとかしてもらいた部分です。
高品位用紙(エプソンではスーパーファイン紙に相当)は使うけど、印刷品質を落としてでも高速に印刷したいとというときはあるのですから・・・。
(余談ですが、キャノンの高品位用紙は鉛筆による書き込みができないので、この点も何とかして欲しい!)

画像を分割して大判のポスターをプリントしたり、デジカメ写真をイラスト調に加工することもドライバーでできますが、使う人いるんでしょうか?

印刷品質を比較してみる
 スペック的にはPM-3000よりもPM-950、PM-950よりもBJ F9000の方がキレイなのでしょうが、よほど注意して見ない限り違いはわかりません。あまり気にすることはないでしょう。
ただ色味という部分ではそれぞれに特徴があって、エプソン製は全体的に赤みが強く、キヤノン製はやや青みがかった感じに仕上がります。
同じエプソン製でもPM-3000よりはPM-950の方が色がハッキリでる傾向にあって、やや濃いめにプリントされる感じがあります。

そしてPM-950とF9000を比べてみると、F9000の方が薄めにプリントされてでてくるのですが、それぞれの色の彩度が高いので派手でシャープな印象を受ける仕上がりになります。
一概にどれがベストとは言い難いですが、エプソンのプリンターで印刷すると「やさしい」感じ、キャノンのプリンターで印刷すると「くっきり」した感じに仕上がると思ってもらえば良いのでは?と思います・・・。

色味の方はプリントダイアログの詳細設定でインク濃度を調整してやれば、かなり良いレベルまで持ってくることができます。
管理人お薦めの設定は色補正はColor Sync(←調整してあることが前提。BJ標準でも悪くはないが複雑な色ほどはずれやすい)、プロファイルはキャノン推奨(←プリンターを複数使っていると他のプリンタープロファイルも選択できますが・・・)でOK。
イエローがちょっと緑がかってプリントされるので、カラーバランスでイエローの濃度を少し上げておくのがポイントです。(←場合によってはシアンを少し落とす)

デザイナーが使うプリンターとして・・・
管理人のような仕事をしていると「どれだけ正確にプリントできるか?」ということが大事なのですが、そこで気になるのがソフトリッパーというアプリケーションの存在です。
管理人も使っている、エプソンがリリースする「ソフトリッパー4」は、唯一「Post Script Level2」をサポートするソフトウエアRIPとしてすでに定評がありますが、キャノン製プリンターで使えるソフトウエアRIPはどうでしょうか?
実はF9000を購入するにあたってこのあたりもかなり調べましたが、あまりよろしくないようなのです・・・。

キャノン製プリンターで使えるソフトウエアRIPは[PIXUS RIP PSR-10]という名前で販売されています。
これはキャノンの子会社であるキャノテックがリリースしているアプリケーションで、以前は[レガート・スクリプト]という名前で販売されていたことがあります。
管理人はこの[レガート・スクリプト]と呼ばれていた頃に少しだけ使ってみた事があるのですが、今回改めてカタログやインターネット上での評価をいろいろと調べてみると、製品仕様的にはこの頃のものと全く変わらない使いにくさが今でも残っているようです・・・。

まず、カタログ等では「Post Script Level3に対応」と書いてありますが、[PIXUS RIP PSR-10]はいわゆる「クローンRIP」と呼ばれるもので純正のポストスクリプト・アプリケーションではありません。(←たぶん・・・。ポストスクリプト言語を理解しているようなフリをするアプリと思ってもよいのでは?ここまで言明してもいいのかなぁ・・・)
そのためフォントも特殊なものを使う必要があって、市販のプリンタフォントは出力できないようです。
(TrueType・ATMからの出力も保証外だそうです・・・)
ところが、専用のフォントを買おうとしても用意されている書体が少なかったり、インストール時にトラブルが起きたりと、いろいろと問題があるようです。
さらに、IllustratorなどのPS系アプリケーションにEPS画像を貼り込む際に、 EPS画像にJPEG等の圧縮をかけていると出力できないという製品仕様を昔から引きずっています。(←非圧縮のバイナリ形式でないと出力できません)
印刷会社のセッター(もしくはCTP)が「Post Script Level2」に対応していない場合はセッターがJPEGを解析できないのでバイナリ形式で入稿している方もいるとは思いますが、管理人がお世話になっている印刷会社は全てJPEGで入稿してもOKなので、データー容量を抑えたり入稿形式を統一するという意味で、JPEGが使えないのはツライです・・・。

管理人の場合PS系アプリと言えばAdobe Illustratorしか使わないので、他のPSアプリの対処の仕方は分かりませんが、少なくともイラストレーターはVer.8.0以降を使うことで画像出力の問題は回避できます。
それは「画像を埋め込む」という方法です。
こうすることで、ただの「配置」だけではアタリ画像が置かれているだけだったのに対し、実画像が配置されるようになるのでPSプリンターでなくてもキレイにプリントされます。
プリントの前にいちいち埋め込みをしなくてはならないので、写真点数が多いとちょっとたいへんですが、ある程度メモリを実装していてCPUがG4ならそれほどストレスなく変換できるはずなのでおすすめです。(←PSフォントはATMに対応していることが前提)
ただしIllustrator5.5で作ったファイルを9.0で開くと文字間が変わって(?)レイアウトが崩れてしまうことがある(←9.0のバグなのか、管理人の環境に由来するものなのか・・・特にテキストボックス内の文字間が変わると文字が溢れてしまうのが痛い!)ので注意が必要です。
アウトラインのとれるフォントを使っている場合は、あらかじめ5.5でアウトライン化しておいて9.0で開くと一応問題は回避されます。

総合的に評価してみる
出始めた頃はイラストレーター等のPSアプリからの出力にいろいろと問題のあったインクジェットプリンターですが、最近はプリンタードライバーやアプリケーション本体の改良が進んでRIPなしでもほとんど遜色のない出力結果が得られるようになってきています。
まだまだ色再現などの面では問題はありますが、より簡単に導入できるという意味ではこれに勝るものはありません。
特に今回購入したBJ F9000のように画質とスピードに勝るプリンターの登場は便利のひとこと。
これは趣味で使っていても仕事で使っていても共通に言えることだと管理人は思うのです。
画質の面ではほぼ限界に近づいているといわれるインクジェットプリンターですが、さらなる進化を期待せずにはおれない管理人でした。
次は顔料インクプリンターが欲しい(使ってみたい)なぁ。

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